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2008-08-20

広島西区 韓国家庭料理 茶や


広島市西区庚午の住宅街の中、あまり目立たない場所にある、韓国家庭料理の店。
民家を改装したのだと思うが、外も中もこげ茶色の板張りで、たいへん風情がある。
昼の1時半ごろ行ったのだがほぼ一杯で、近所の主婦グループらしき人たちとか、老夫婦とか、勤め人らしき人もいたし、遠くから車で来たという人もいた。
かなりの評判の店なのだろう。

昼は「韓国定食」と言って、小皿が3品、ご飯がついて、それにアキレス(牛腱のこと)スープ、豆腐チゲ、キムチチゲ、焼肉、ホルモンポックム(ホルモンの炒め物)、タコポックム(タコの炒め物)の中から一品、選べるようになっている。
1,050円。
その他の料理は、石焼ビビンバやキムチチャーハン、クッパ類、サンゲタン、チゲ類、炒め物類、チャプチェやトッポギなどなど。
焼肉は置いていない。
値段はそこそこ手頃である。


頼んだのはキムチチゲの韓国定食。
小皿は右から、ナスの醤油煮、ジャガイモの炒め、カツオの韓国風ヅケ。
ナスは煮干の出しに醤油で煮てある。
ジャガイモは細長く切ってあって、塩味にニンニクと唐辛子が程よく利いている。
カツオは、甘辛い味噌に漬け込んだのだろう、ゴマを振って、水菜と一緒に食べる。
それぞれ丁寧に手が加えられているのが分かる。
また3品のバランスもとても良い。

韓国料理はオンマ、お母さんの手の味だと言うが、じっさい韓国料理のおいしさは、調理人が丁寧に手をかけてくれているという、その感じなのだと思う。
それはメインの料理より、むしろ小皿の方がよく分かったりする。
ここはランチ1,050円という、多少高めの設定にしてあるが、その分、小皿をただキムチとナムルなどで済ますのではなく、きちんと手をかけたものを出している。
それが人気の理由の一つだろう。

それからキムチチゲ。
キムチに、薄切りの豚の三枚肉、豆腐、長ネギ、それに玉ねぎも入っている。
味は、けっこう辛いのだが、韓国で食べるものと違うと思うのは、味噌をかなり使っているようだということ。
キムチの辛さ、酸っぱさに味噌のうまみが加わり、独特な複雑な味になっている。

韓国料理を日本に持ってくるという場合、いちばん難しいのは味の決め方だろうと思う。
韓国では味付けをするのに、おもに唐辛子とニンニク、それにごま油を使う。
それに対して日本では醤油がメインとなる。
だから韓国の味付けをそのまま日本に持ち込んでしまうと、辛いばかりで味がしない、ということになりかねない。
逆に日本の味付けは、韓国人にとっては、塩っぱいばかりで味がしないそうだ。

キムチチゲも、韓国では基本はたぶん、キムチと豚肉だけで味をつける。
出しも味付けもキムチだけ、というのが、キムチチゲの原点なのだ。
でもそうすると日本人には、難しい味になってしまう。
そこで味噌が追加されているという訳だろう。
辛さはあまり抑えておらず、けっこう辛いのだが、味噌の味と、それにこの店では玉ねぎの甘みも加わり、日本人好みの奥行きのある味に仕上がっていると思う。

食べ終わって、ママに味付けのことを聞いてみた。
たしかに本当に難しくて、唐辛子とニンニク、日本人は人によっては全くダメという場合もあるし、人によってはもっと入れてほしい、という場合もある。
だから相手に合わせようとしていては、なかなかうまく決められない。
でもそうではなく結局は、自分の舌で決めるしかないのだと思うと言う。
ママは韓国人だが、日本に長く住んでいて、日本の風土や日本流の生活にも馴染んでいる。
その自分がおいしいと思えるものを作ることが、日本人もおいしいと思ってくれる、そう信じてやっているとのこと。
そうだよね、やっぱり。

茶や (韓国料理 / 広電 高須)
★★★★ 4.0

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