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2008-09-21

広島高須 お好み焼き 「ふくま」

三八一休へ行って以来、麺がいちばん下に来るように焼く、三八系の焼き方の良さが分かってきた。
みっちゃんや八昌などの焼き方では、強く焼きを入れられ、玉子とソースがからんだ麺が一番上にあり、その存在を強く主張している。
それはそれで、もちろん美味しい訳だが、三八系の焼き方では、麺はもう少し控えめで、それでいて重要な役割をはたしている。

三八系では、鉄板に生地がまるく敷かれ、その上にソースで味をつけ炒めた麺、キャベツ、豚肉、の順で積み上げられていく。
ひっくり返してしばらく蒸され、さらにアイロンやコテで上から強く押し潰される。
この時、上下で隣りあった麺とキャベツは、押し潰されることでその境界をこえて混じりあい、麺につけられたソースの味がキャベツに移り、またキャベツの水分によって麺は柔らかくなり、両者は一体となることで、より高度な味へと昇華するのだ。
それほど大袈裟なものではないが。

なので、みっちゃんや八昌では、麺はパリッとした口当たりが持ち味だが、逆に三八系では、麺が柔らかく、むしろ存在すら感じさせないことによって、お好み焼き全体として、しみじみとした味わいを生み出すのだ。

という訳で、本当は今日は、コメントで教えてもらった、三八で修行したという祇園の店に行ってみたかったのだが、雨模様だったので断念、知人から「建物はぼろいが、味はおいしい」と教えられていた、近所の「ふくま」に行った。



建物は本当に朽ち果てそうで、もう40年になるそうである。
初代の人が13年やったが、結婚することになり、今のママが引き継いで27年になるそうだ。
広島のこの種の店に共通することだが、たしかに建物はぼろいし、店内もマンガやら民芸品やら、何やらかにやらでゴチャゴチャしているのだが、不潔というのとは違う。
年季の入った空間は、妙に心やすらぐものがある。

ビールは自分で冷蔵庫から出すようになっている。
ドライのレギュラー缶、300円。
お好みができるまで時間がかかるというので、野菜の天ぷらをサービスで出してくれた。

焼き方は三八系だが、ママの独自の考えもある。
いちばん重要なのは、「麺の質は、どんなことがあっても落とさない」ことなのだそうだ。
麺はいつも決まった店から仕入れているが、同じ店でも麺を打つ人が変わると、それだけでもう出来上がりが違う。
たまに麺が足りなくなって、別の店で買い足したりする時、値段の安いのを買ってしまったために、使い物にならなかった事もあったそうだ。

麺の扱い方も、他のこの手の店にくらべると念が入っていて、袋から出した麺を鉄板にのせ、そのまましばらく置いて、十分あたためる。
麺をほぐして油を足し、塩とコショウで味をつけ、そのあとさらにコテで押し付けながら焼きを入れる。
かなりパリッとさせるのだ。
「一旦こうやってパリッとさせてから、キャベツの水分で柔らかくなるのがおいしい」のだそうだ。

そこまでかなり時間をかけてから、生地を鉄板にのばす。
魚粉をふりかけ麺をのせ、大量のキャベツをのせるのだが、このキャベツの幅がたいへん太い。
1センチ近くもありそうである。
何か理由があるのかと訊いたら、
「私の性格が大雑把だから」だそうだ。
あはは。

蒸すのにそれほど時間を掛けるでもなく、お好み焼きは完成されていく。
アイロンで押しはするが、それほどぎゅうぎゅう押し付けるわけではない。
「キャベツは生でも食べられる物なのだから、そんなに強く火を入れなくてよい」のだそうだ。
たしかに。



肉玉そば550円。
青ねぎのトッピングはサービスしてくれる。

このお好み焼きは、三八系でありながら、麺とキャベツを融合させるのではなく、パリッとした麺と、生っぽいキャベツが、それぞれの存在を独自に主張するところに特徴がある。
それはそれで一つの考え方で、実際悪くない。
お好み焼きは食べ進むとモサモサしがちだが、これはそういう事とは無縁で、最後のひと口まで、変わらずにおいしく食べられる。
鉄板の上に置いているうちに、さらに火が通って味が変わり、美味しくなるそうなのだが、今日は火の点いていない側で食べてしまったので、それは体験できなかった。

ふくま (お好み焼き / 東高須)
★★★☆☆ 3.0

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