このサイトは、おっさんひとり飯の「旧サイト」です。
新サイトはこちら
へ移動しました。
なんでサイトを移動したの?⇒ こちら

2009-05-28

舟入幸町 「満得」

この所ラーメンというものの実態が急激に見えてきてしまったものがあって、ラーメンのことを考えると、どうも頭が重くなるようになってしまったのだ。
ラーメンに化学調味料が付き物だということは僕だってわかっていて、それは女性が化粧したり冷房を入れたりするようなものであり、それでおいしくなるのならそれで良い、別に目くじら立てて無化調主義を唱える必要はないと思っていたのだが、もっと奥深い問題があることがわかってきた。
ラーメンの場合、化学調味料を入れることにより、ただおいしくなるというだけではなくて、僕達がラーメンというとイメージする、その味そのものが、化学調味料の味なのじゃないか、ということなのだ。
幼い頃からインスタントラーメンやカップラーメンで鍛えられた僕達の味覚はすでに、化学調味料が入っていないラーメンというものを、物足りなく感じてしまうのじゃないかと思うのだ。
よく味噌汁を天然だしで作ると、これじゃまずいから本だしを使えと言うご主人の話を奥さん連から聞くことがあるし、家の親も昔は、ほうれん草のおしたしに花鰹をふり、さらに味の素をかけていた。
僕達がそういう味覚を持っているから、ラーメン屋も化学調味料を多用し、そしてそれが人気を博すというのは、まさに需要と供給の関係、求める人に求めるものを与えているというだけの話であって、おかしいことでもなんでもない、当然のことなのだ。
しかしさらにそれが一歩進んで、だしを全く取らないラーメン屋も今増えていて、博多の方の屋台じゃ、豚骨だしの素を使う所が圧倒的に多いなどという話を聞くにつれ、女性が化粧をしてるなんてことじゃない、きれいに化粧だけをした女の形をした人形を、きれいだきれいだと言ってありがたがっている光景が思い浮かんだりして、それを求める方も、与える方も、人間の限界を超えた、異常な、殺伐とした世界に突入してしまっているんじゃないかと思うようになってしまったのだ。
実際僕だって、それをおいしいと思ってしまうわけだ。
意志の力ではどうにもならない自分の味覚というものを、需要と供給の力関係でぐるぐると自動的に回る巨大なシステムにしっかりと握られてしまったようで、なんとも暗澹とした気持ちになってしまう。
これって最近ちょっと、ラーメン食べ過ぎってことかな。

それで今日はラーメンじゃないものを食べようとも思ったのだが、いや、敢えてまたラーメン、それもそのようなラーメン界の現状を憂い、自分はそのシステムの一員にはならないと決意している人が作るラーメンを食べようと思い、来たのがここ、満得。
店主は元々、とあるラーメンチェーン店の総料理長だったが、そこが豚骨だしの素を導入するということになって退職、自分で店を始めたのだそうだ。

ここは写真撮影禁止のため写真がないが、以前来た時はラーメン630円を食べたので、今日は「満得ラーメン(野菜入り)」680円というのを食べた。
こちらはチャーシューが入っていないんだな、ちょっとびっくり。
まあいいが。

クリーミーな白濁したスープ、これは普通よく使われる豚の頭骨ではなく、背骨を、8時間から10時間、強火で炊き込むと、中の髄が溶け出してこうなるのだそうだが、化学調味料を入れていないとは全く信じられない、濃厚なうまみ。
ラーメンを食べに来るお客は、あくまであの化学調味料のふんだんに入った味をイメージしてくるわけだから、それを化学調味料なしで、どう満足させて帰すかというのは、こういう無化調の店のそれぞれで、色んな考え方があるものと思うが、この店はすごいな、あくまで直球、化学調味料を使っていないのに、化学調味料を使っているのと同じ味に仕上げるということなのだな。
これなら化学調味料大好きなおじさん達も、満足すること間違いない。
わざわざ「当店は化学調味料を使っていません」と張り紙してあるのだが、これはこう書いておかないと、誰も化学調味料を使っていないとはわからない、ということなのだろう。

チャーハンも食べたが、これも化調を使わないからだろう、醤油が濃い目に使ってあって、色が茶色くなっている。
当然、味が足りないということはない、十分にうまかった。

大盛も同じ料金で、今日は食べられるかどうかわからなかったので普通盛にしたが、量が少ないということはなかったが、ペロッと食べてしまって、ちょっと足りなかった。
男性は大盛をお薦めかな。
ただ化調が使っていない代わりに、ちょっと塩分がきつめなので、コレステロールが気になる人は、汁を残したほうがいいかも知れない。
僕は汁まで完食したが。

満得 (ラーメン / 舟入幸町、舟入本町、舟入川口町)
★★★★★ 5.0