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2009-12-02

骨付鳥「一鶴」高松店

香川に来たら、やはりこれなのだ。塩コショウした骨付きのモモ肉に、油に醤油やニンニクの入ったタレをかけながら、オーブンで焼くのだそうそうだが、大学の頃、知人に連れられて初めて食べて、こんなにうまいものが世の中にあるのか、というくらい、感動した。和風のようで洋風のようで、どういう味なのか、どうやって料理するのか、よくわからないのだが、とにかく鶏の強烈なうま味だけが、ひたすら襲いかかってくる、という感じなのだ。それ以来、香川に来たら、馬鹿の一つ覚えで、朝と昼はうどん、夜は高松か丸亀で、この一鶴の骨付鳥と決まっていて、あまりしょっちゅうは来ないものだから、香川で他の食い物を開拓することはできないな。
前に丸亀のほうの店で、いかにも創業者らしい老婦人が、給仕をしていたので、話しを聞いたことがあって、店を始めるに当たって、他と同じことをしていたのではダメだろうからと、どんなものを出したら良いか、色々考えていた時に、アメリカの映画で、骨付きの鶏肉をガブリと食べるシーンを見てこれだと思い、試行錯誤の末、この味を作り出したのだそうだ。初めのうちは、日本人にとって、丸ごとの肉を食べるということが、なかなか受け入れられなかったのだが、しばらくして、人気が出始めたのだという。なるほど、和風とも洋風とも、なんとも説明しにくいこの味は、そういう一人の人間の発想と挑戦から、生み出されたものなのだな。
「おやどり」と「ひなどり」という二種類があって、いわゆる鶏モモ肉といって僕たちがイメージするのは、ひなどりのほうで、おやどりというのは、噛み切れないくらい固くて、噛んでいるとアゴが疲れるのだが、なんとも濃厚なうま味があって、僕はこちらのほうが好きだ。初めこれを頼んで、まあけっこうな量があるし、これだけにしようと思っていたのだが、食べてみると、やはりひなどりも食べたくなり、結局両方食べた。そうなると、半ば予想はしていたが。キャベツが付いてくるのだが、いくらでもおかわりできるので、これをバリバリかじりながら食べる。
最後に「とりめし」を食べたかったが、さすがに腹がいっぱいで、スープだけを頼んだ。これもうまいな。鶏の澄まし汁、中華風の色々入ったやつじゃなく、煮立たせないようにして鶏だしを取り、醤油酒みりんだけで味を付けた、という感じのもの。鶏の脂かな、が浮かんでいて、すすっていると、あんまりうまくて、頭がぼっとしてくる。
この一鶴の骨付鳥は、もしまだ食べたことがない人がいたら、死ぬ前に一度は、食べてみたらいいんじゃないかと思う。