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2010-03-19

四条通千本西入ル壬生花井町 「担々」

コメントでおいしいと、薦めてもらった店。行列必至ということで、僕はいつも、前ではなく、あとに時間をずらすので、午後1時過ぎに行ってみたら、行列こそしていなかったが店内はほぼ満席。その後もお客さんは、ずっと来つづけて、時には3人くらい、並んだりしていた。
「Tan Tan Noodle Shop 担々」という、何だかおちゃらけたような店名で、店内に飾られているポスターなども、アメリカンな雰囲気なものが多く、それだけ見ると、あまりおいしそうにも思えないのだけれど、京都って、こういう、東京出身の僕などから見ると、過剰と思えるイメージ戦略が、使われる場合が多いよな。
「男前豆腐」とか典型だと思うが、僕は男前豆腐、値段が高いし、大きさが手頃なものがないしで、買ったことはないのだが、あれは大豆の汁が濃くて、けっこうおいしいらしい。にもかかわらず、味を前面に出すのでなく、劇画調のキャラクターとか、「豆腐屋ジョニー」とかいうネーミングとか、そういう本質にはまったく関係のないものを、前面に出すのだよな。
こないだ食べたラーメンの「すき焼きラーメン」というのも、ラーメンはけっこうおいしいのに、すき焼きラーメンという、イロモノとも思える打ち出し方をする。「黄桜どん」とか、「月桂冠 月」とかも、「日本酒」というイメージからすると、打ち出し方として異色だよな。
これはどういうことなのかな。しかも上にあげたものはそれぞれ皆、成功しているわけだから、これは高等戦術ということなのだろうな、たぶん。考えてみれば「コカ・コーラ」とかも、CMであの味が打ち出されたことは一度もないわけだから、こういうやり方は、ブランド戦略の王道といえるのかもな。さすが1000年以上都だった場所だからな、奥がふかいな、京都。
というわけで、いつもながら前置きが長くなったが、この担々麺、かなりおいしかった。僕がこれまで食べた、汁ありの担々麺、って僕はこれまで、担々麺はそれほど食べてきてはいないのだが、少なくともその中では、一番うまいな。
僕が今まで、担々麺について、欠点だと思ってきたことは、「ゴマの味」なのだ。ほんとの韓国料理で、日本人には考えられないくらい、大量のニンニクと一緒に使われる場合は別として、日本の料理の中でゴマが使われても、目先が変わるというだけで、実際には何もおいしくないと、僕は思う。これはもちろん、好きな人は、それはそれでいいのだが、だから担々麺も、香ばしいゴマの味を利かせているのが多く、僕はそれはまったくうまいと思わなかったために、担々麺自体、これまであまり食べてこなかったのだ。
ところが、これは話はそれるが、広島の汁なし担々麺、これはゴマはまったく使っておらず、かわりに大量の中国山椒を入れていて、これは新鮮でうまかったよな。実際これが人気になるということは、僕と同じように思っていた人が、多かったということなのかなと思ったりもするが。
この店の担々麺も、ゴマを使っていない。ゴマを使わない分、何かでコクを出さないといけないわけだが、一つにはニンニクが、日本人が「アリ」と思う感覚を、たぶん越えた量、使ってある。僕はそういう、限界を踏みこえる精神、痛快でけっこう好きなのだが、しかしもちろん、それだけではない。ここはスープが、なんともうまいのだ。
豚骨なのか鶏ガラなのか分からないが、かなり濃く出してあって、それがただ濃いだけじゃなく、乳化というのか、牛乳のような、クリーミーな味なのだ。このだしがきっちりあった上に、唐辛子とニンニクの味が重ねてあるから、ゴマの不在をおぎなって余りある、というより、ゴマを入れるより圧倒的にうまい。スープは咳が出る程度には辛く、けっこうな量もあったのだが、思わず最後まで飲み干してしまった。
麺は、ふつうのと、太いのがあって、今日はふつうの麺にしたが、もさっとしていて、しかもかなりのコシがあり、うまい。全体として、すべてにおいてはっきりしていて、曖昧さがなく、店主はかなりのセンスの持ち主だと思った。
タンタンヌードゥルショップ 担担 (担々麺 / 四条大宮、大宮、西院)
★★★★★ 5.0