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2011-08-23

イカのはらわたはやっぱり偉かった


昨日このブログで「材料が呼び止める声に耳を傾ける」などと書いた僕だが、実は材料に呼ばれているのがわかっていながら、無視しているというものもある。

最近で言うとサンマだ。まだ値段がちょっと高いということもあるが、食べ方が塩焼きというのがどうも気に食わない。脂の乗ったサンマを塩焼きすれば死ぬほどうまいのは、重々わかっているのだが、ものをただ焼いて食うのは献立としてどうも芸がないような感じがして、あまり手が伸びないところがある。

それからもう一つ、それが今回のスルメイカだ。

グルメシティでは最近、うまそうなスルメイカを非常に安く出すようになり、発泡スチロールの箱に入ったままの、まだまっ茶っ茶のいかにも新鮮そうなやつが98円だったりする。買いたいなと思うが、どうやって食おうかと考えると、二の足を踏んでしまうのだ。

イカというと里芋と煮付けるのが定番だろうが、まず里芋が高い。一袋300円とかする芋を買う気にならない。

それなら大根と煮付けてもとも思うが、どうもそこまでうまそうとも思えず、生でも食べられるというが、家で刺身を食うことにはあまり興味が湧かず、焼くのも同様興味がない。

というわけでこれまで、せっかくうまそうなスルメイカに何度も呼び止められながら、心の中で「ごめん」と言いつつ、その場を立ち去っていたというわけなのだ。



ところがそんな僕にも、とうとうスルメイカから目を背けることができなくなる日がやってきた。

里芋が、ちょっと小さな、衣かつぎくらいのやつなんだが、一人で食べるのに丁度よさそうな量のが100円で売っていたのだ。

もうこれは、神様がイカと里芋の煮付けをしろと言っていると観念して、ちょうど最高とまではいかないがそこそこの鮮度のスルメイカが、そこそこの値段で売っていたので買うことにした。イカをさばいたり里芋の皮を剥いたりすることを考えると、ずいぶん面倒くさいと思ったが、神様に言われてしまったのだから仕方がないのだ。


ところでここで非常に迷ったのが、イカのはらわたの扱いだ。

はらわたは以前は塩辛にしたのだが、今回は塩辛にするまでは鮮度が良さそうでもない。かと言って捨ててしまうのももったいない。とそこで、はらわたを煮付けの煮汁に入れるというのを思い付いた。アンコウの肝と一緒で、煮汁に入れるとコクが出るんじゃないか。

ただ生臭くなりそうな気もするわけで、普通はどうするのかと思わないわけでもない。しかしネットを検索してレシピを調べたりするのも面倒くさいし、失敗してもいいやと思って、はらわたを煮汁に入れることに決めた。


ちなみにイカと里芋の煮付けを作ったことがない人のために、僕がどうやって作ったのかを簡単に説明すると…。

里芋はたわしで洗い、皮がついたまま4~5分塩ゆでし、水にさらしながら皮をむく。皮は包丁を使わなくても、衣かつぎを食べる時の要領で、指の腹でこすり落とすようにすると、わりかしすんなり剥ける。でも30個の里芋の皮を剥くのは、けっこう面倒くさかった。

イカは頭の部分と足の部分を分ける。袋に指をつっこみ、頭と足を固定してあるところを指でぷちっと切れば簡単に外れるはずなのだが、どこを切ったらいいのかよく分からず、これはけっこうオタオタした。結果として外れたが、今でもどこを切ればいいのかよくわからん。

頭の方に骨なのか神経なのか、硬い細長いものがあるので、それを外す。足は目の下で切り、足の根元のところにくちばしがあるから、それを指でちぎり取る。

はらわたは、一番先端に黒い墨の袋があるんだが、それは今回は捨てた。真ん中の黄土色のものが、いわゆる塩辛に使うはらわただ。

フライパンに下ゆでして皮を剥いた里芋と、ブツブツと切ったイカを入れ、そこにはらわたを袋からしぼり出す。

あとはいつもの煮付けと同じ要領で、酒と水を半々にしたものを1カップ、砂糖とみりんをたっぷり入れ、煮ながら徐々に醤油を足して、こってりと味を決めていく。あくは一切取らなかったが問題なかった。

落し蓋をして強火で煮るが、イカの場合、すぐ固くなってしまうから、煮時間が問題だ。煮時間について、広島で僕がよく行っていたスーパー「マダムジョイ」の鮮魚コーナーの兄ちゃんが言っていたのは2~3分。京都のグルメシティ鮮魚コーナーの兄ちゃんが言っていたのは、それでは味が付かないから、7分とのことだった。今回はグルメシティの兄ちゃんに従い、7分煮た。

7分たったら、イカは取り出す。そして里芋だけを残し、煮汁を煮詰めていく。かなりドロッとするまで煮汁が煮詰まったら出来上がり。皿に盛り付けて、煮汁を上からたっぷりと掛けて食べる。



これはですねえ、死にました。やはりイカのはらわたはエライ。さすが塩辛にするだけのことはある。煮汁にほんとにコクが出て、こんなにうまいイカの煮付けは、食ったことがないというくらいうまかった。生臭みはまったくなし。

また言うまでもなく、はらわたのコクのある味が、里芋にたっぷりとしみ込んでいるわけだ。酒も進みまくり。今回は神様の助言に従って、ほんとに良かった。神様ありがとう。

しかしイカのはらわたがこれほどうまいとなると、これを他にいくらでも利用できることになるわけだ。今度はイカの焼きそばとかやってみようと思っている。もちろんハラワタをタレに入れる。