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2012-06-18

豚肉の卵とじ


豚肉の卵とじ。

肉をねぎと煮て卵でとじるのは、和食の定番。

昆布と削りぶしで取った出しをつかうと、「マジか」とおもうほどうまくなる。

ジャガイモをいれると肉ジャガっぽくほっくりして、これもまたいい。



フライパンで豚肉を炒め、色が変わったら5ミリ幅くらいに切り水にさらしたジャガイモ、それに玉ねぎやシイタケなど冷蔵庫に余っている香味野菜を何でもいれてさらに炒める。

野菜に油がまわったら、出しをカップに1杯くらい。酒とみりん、砂糖にしょうゆでちょっと甘めに味付けする。

7~8分煮たらざく切りにした青ねぎをいれ、青ねぎがしんなりしたら、卵でとじれば出来あがり。

七味唐辛子をふって食べる。

肉は脂身の多いこま肉がうまい。



わかめの炒めもの。

向田邦子のレシピより。

わかめを炒めるというのはあまり聞いたことがないけれど、これが信じられないくらいうまい。

わかめは生のを買ってきてゆがいて使うのが一番だけれど、乾燥わかめや塩わかめを水にひたし、塩抜きして使ってもいい。

ゆでたワカメは冷凍庫にいれれば長期保存もできる。



よく水をぬぐって3センチくらいに切ったわかめを、サラダ油大さじ1にごま油大さじ1くらいの油でさっと炒める。

このとき油ハネするから鍋ぶたを前にかざしてガードしながらやる。

わかめが濃い緑色になってきたら、しょうゆをまわしかけ、削りぶしをどばっといれて、全体をまぜれば出来あがり。

ふりかけみたいな感覚で、酒にも合うが、ご飯にもまちがいなく合う。



鯛あらのすまし汁。

昨日の鯛あらは、背骨の部分だけ残してあったから、それをすまし汁にする。



湯通しし水で洗った鯛の背骨を、出し昆布といっしょに水にいれ、中火にかける。

沸騰したら弱火に落とし、アクをとりながらコトコト煮る。

3分したら昆布はとり出し、15分したら背骨もとり出す。

少なめの酒とうすくちしょうゆ、それに塩で味付けする。

ただ、これは失敗した。

シメジをいれたら、鯛の出しの味が吹き飛んでしまった。



酒は芋焼酎の水割り。

ガバガバ飲んだら、3杯で酔っぱらった。






四条大宮に若いマスターがやっている、繁盛している立ち飲み屋があるのだけれど、立って飲むのが苦手な僕は、まだ行ったことがない。

しかし食わず嫌いも何だからと思い、出かけてみたら、

「12時までで終わりなんです、ゴメンナサイ・・・」

そこで近くの、やはり前から気になってはいたけれど行ったことがなかったバーへ行ってみたら、そこも12時で終了。

結局、さっき前を通ったとき、入口の縄のれん越しに会釈をかわした店長がいる鉄板焼屋で、180円の角ハイボールを1杯飲み、次に行く店を考えることにした。



鉄板焼屋の店長のお兄ちゃんは、ちょびヒゲを生やした、ぼっとした感じのする青年だけれど、話してみると、意外に深く考えていそうなことを言うところがおもしろい。

店によく来ている中国人留学生の女の子が、テキーラを飲み干して帰った晩の翌日の面接で、結果がどうだったのかきいてみた。

「3次試験まで行ったけれど、ダメだったみたいっす・・・」

べつに前日酒を飲み過ぎて体調不良だったということではなく、女の子は中国語も日本語も話せるけれど、他にもそういう人が少なくなく、「力およばず」ということだったのだろうという。



「それに本人もどこまで真剣に『就職したい』と思っていたのか、わからないところもあると思うし・・・」



お兄ちゃんは、たぶん女の子本人に対しても、おなじ言い方でなぐさめ、再起をうながしたのだろう。

結果が思い通りいかなかったとき、その原因を、さまざまな事情ではなく、その人の「姿勢」にもっていくのは、他人を思いやる態度として悪くないと思う。

お兄ちゃんのはげましが効いたのか、それ以来女の子をこの店で見かけていない。



「若い人が酒を飲まない」ということについてもきいてみた。

31歳のお兄ちゃん、

「そうは言うけれど、若い人も30歳を過ぎたら、飲むようになるんじゃないすか・・・」

今の時代でも、酒は飲めないより飲めたたほうが、社会を生きていくには何かといい。

それに、

「人間の楽しみって、時代が変わっても、結局は飲んだり食べたりすることくらいしかないじゃないすか・・・」

若い人についての話を、いきなり「人間」というところに大きく持っていくのが、なかなか小気味よかった。



角ハイボールを飲み終わった僕は鉄板焼屋を後にして、先日キム君のバーで出会った、美人の若い奥さんがいるバーへ向かった。



バーにも2種類あると思う。

昔ながらのバーと、新しいスタイルの「カフェバー」や「ダイニングバー」。

違いは、バーテンなリマスターなりがお客さんと「話す」ことが、サービスに含まれているかどうかということになる。



昔ながらのバーは、カウンターの中にいるバーテンがお客さんと話すことを重要なサービスと考えているから、かならずカウンターの椅子を高くするか、またはカウンターの内側の床を低く掘り下げるようにして、バーテンの顔の高さがお客さんの顔とおなじか下になるようにしている。

バーテンがお客さんを見下すことがないようにするためだろう。

それに対してカフェバーやダイニングバーは、カウンターの中にいる店員がお客さんと話すことは、サービスとしてそれほど重視しないから、カウンターに特別な工夫はされていない代わりに、料理を出したりすることでお客さんを引き付ける。



美人の奥さんがいるバーは、どちらかというとダイニングバーに近く、ご主人であるマスターも、「バーテン」としての役割を果たすつもりはまったくない。

カウンターの中にいても、飲み物や食べ物を作っているか、または仕事がなければ、2階へ上がって1人で飲んでいたりする。



しかし若い奥さんとしては、どうやらそれが不満なところもあるらしい。

僕のような1人客が、ポツリとカウンターに座っていると、退屈していないか気が気じゃないのだろう。

僕の前にときどき来ては、話の相手をしてくれる。

また別のお客さんについて、マスターにむかって、

「マスターが相手じゃないと、できない話もあるんだから、2階で1人で飲むのでなく、このお客さんの隣に座って飲むべきよ・・・」

などと言ってみたりする。



昔ながらのバーなのか、新しいバーなのかは、その店の経営方針の問題だから、べつにどちらでもいいことだけれど、たしかに僕は、美人の奥さんの顔を見にきたところがあるのだから、奥さんが何かとかまってくれるのは、ありがたい。



帰り際、マスターといっしょに見送りに出てきてくれた奥さんは、腰を少しかがめ、顔をななめに傾け、両手を顔の横にひらいて、満面の笑顔で「バイバイ」のポーズをしてくれた・・・。



心臓を完全に撃ち抜かれた。