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2012-06-20

豚肉の卵とじ(トマト入り)


今夜の晩酌。

肴は豚肉の卵とじ(トマト入り)、昨日の袋煮、ナスの塩もみ、焼きオクラ。



肉を出しで煮て卵でとじるのは和食の定番で、何度食べても飽きないが、刻んだトマトを一緒に入れるのも、ほんのりとした酸味が付いてまたうまい。

トマトはあらかじめ湯剥きしザクザクと刻んでおく。

豚コマ肉を炒め、うす切りにした玉ねぎと5ミリ厚さくらいに切ったジャガイモを炒めたら、だし1カップくらいを注ぎ、酒とみりん、うすくち醤油で味付けする。

トマトを入れて5分くらい煮、さらにしめじを入れて5分くらい煮る。

溶き卵をまわし入れ、すこし蒸らせば出来あがり。

七味をかけて食べる。



旬の露地物のナスは、ハウスのナスとはまったく違い、塩もみだけして削りぶしもしょうゆもかけずに食べるのが一番うまい。

先週買ったナスはまだダメだったが、今週はもういける。

ナスは縦に割り、3ミリ厚さくらいに薄切りして、塩2つまみくらいと水スプーン1杯くらいをふってよく揉み込む。

5分くらいおき、よく絞れば出来あがり。

みずみずしく、甘みがある。



焼きオクラ。

オクラやピーマン、唐辛子は、ただ焼いて食べるのもうまい。

焼き網を中火にかけ、表裏を軽く焦げ目がつくていどに焼く。

削りぶしとポン酢をかける。

しみじみと、うまい。



酒は芋焼酎の水割り。

3~4杯飲み、ほどよく酩酊。






そろそろ鈴之助のバーへ行き、杏里似のオネエちゃんが来ないかどうか、確認したい気持ちもあるのだが、夜の散歩はオネエちゃんに会うことが目的ではない。

それより夜の街をブラブラと歩き、まだ入ったことがない新しいバーを発掘したりすることが目的なのだと思い直し、四条大宮の西にあるまだ入ったことがないバーを訪ねてみることにする。

何度か前を通ったことはあり、バーとしてはわりと硬派な感じがしたから興味を持っていたのを、昨日ホームグラウンドにしているバーのマスターにいわれて思い出したのだ。



いつも四条大宮へ行くのとは反対の方角へ家を出る。

蛸薬師通を西へ行き、後院通をわたって団地の脇の道をはいる。

坊城通から四条通へ抜け、西へ行く。

道すがら、12時を過ぎてもまだ開いている居酒屋もあるのだが、もう腹いっぱい食べ、腹ごなしに歩いているのだから、居酒屋の料理を食べる気はしない。



到着したバーは、目に付くものは白く光る小さな看板1つだけ。

外壁は黒く塗られ、夜のとばりにカラスのように目立たない。

半分開けられたガラスの引き戸からのぞいてみても、中もまっ暗。

通りに面しているとはいえ、場所は繁華街からずいぶん離れているから、そこでこんなに目立たないバーをやっているのは、店主はなかなかの考えを持っているとみる。



「こんにちは、いいですか」

「どうぞ・・・」



中に入ると、ほんとに小さな、2間ほどの店内に、5~6人座れるカウンター席と、2人掛けのテーブルが1つ。

すべて黒く塗られて、電気も暗い。



「かなり隠れ家的な店だな・・・」



ところが意外に、マスターは明るい性格。

彦摩呂似の、おもしろカッコイイ31歳の青年で、アナウンサーのように朗々とした声でよくしゃべる。

ポケットにねじり込んできた千円で足りないと困るから、いちおう値段を聞いてみたら、一番安くて600円。

芋焼酎の水割りをたのんだ。



「ずいぶん辺鄙な場所でやっていますね」と聞いてみたら、

「バーに場所は関係ありませんからね・・・」

たしかにその通り、すこし離れているくらいの方が、逆に人が集まってくる。

店を始めてもう5年になるというから、なかなか大したものだとおもう。



四条大宮の飲み屋の話になり、鉄板焼屋の店長のお兄ちゃんと同級生なのだそうだ。

僕がホームグラウンドにしているバーへはまだ行ったことがないというから、店内の様子やマスターのことをくわしく教えておいた。



お客さんは、モヒカン刈りにして黒いTシャツを着た、つのだひろ似の男性。

それと20歳くらいの、黒縁のメガネをかけ白いワイシャツを着た、ひょろ長いお兄ちゃん。

お兄ちゃんは社会科見学に来たとみえ、姿勢を正し、うつむき加減にまわりの話を聞いている。

やがてつのだひろ似の男性が、僕が初めて聞く京都弁のべらんめえ調で、ラーメン屋の話を始め、京都駅近くの朝の5時半から行列ができる老舗ラーメン屋について、こと細かく教えてくれた。



また来ることにして、店を出る。

まだすこし飲み足りなかったから、鉄板焼屋で角ハイボールを飲み、店長のお兄ちゃんに同級生と会った報告をすることにする。



鉄板焼屋には、3人連れのお客さんが1組。

働いているのは店長のお兄ちゃん、それから、



「倖田來未似のオネエちゃん・・・」



ちょっと優香にも似たところがある顔をして、スタイルはグラマー。

茶色く染めたショートカットにしゃれた服を着てキレイにしていて、前から一度話してみたいとおもっていた。

角ハイボールを持ってきてくれたオネエちゃんに、

「ありがとう・・・」

と愛想よく言ってみる。



それからしばらく店長のお兄ちゃんと、彦摩呂のバーの話、さらに僕のブログの話で盛り上がった。

僕のブログを見て、この店を訪ねてくれたお客さんがいたそうだ。

「夜中の2時ごろ来る人のブログを見て・・・」

というから、僕だとわかったとのこと。



「まったく何もないところから文章を書いてまとめるっていうのは、どういう感じなんすか・・・」

お兄ちゃんがかわいいことをきいてくれるものだから、僕も得意になって、

「いや文章を書くといったって、お兄ちゃんが鉄板焼きを作るのと、なにも違ったことじゃないんだよ・・・」

聞き上手なお兄ちゃんに引き出され、おっさんの語りが始まった。



やがて角ハイボールがなくなった。



「せっかくだから、オネエちゃんとも話してみよう・・・」



今日は店も忙しくないようだから、オネエちゃんも僕と話す時間はあるだろう。

ポケットに200円が残っているのを確かめて、角ハイボールをもう1杯注文する。



しかし、おっさんの語りは止まらない。

「思い切って会社を辞めてみたけれど、人生、意外になんとかなるもんだとつくづくおもうよ・・・」

人生論に突入する。



さらに僕は、ブログのタイトルをお兄ちゃんに教え、お兄ちゃんはそれをiPhoneで見始める。

「オレの言ったことが、そのまま書いてあるっすね・・・」

お兄ちゃんは笑いながら、おもしろそうに僕のブログを見ている。

僕はお兄ちゃんに、ブログの苦労話を聞かせたりする・・・。



2杯目の角ハイボールを飲みおわり、気持よく語った僕は、お勘定をして店を出た。



店を出て、歩き始めてからようやく、僕はハタと気が付いた。



「オネエちゃんと、一言も話さなかった・・・」



しかしすでに後の祭り。

僕は、トボトボと家に帰り、布団に入った。