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2012-08-23

ニシンとナスのピリ辛煮

きょうの晩酌。







京都は海が遠いから、昔は新鮮な魚を手に入れることができず、それが京都の独特の料理文化を育んだといえるのではないかとおもう。
日本人にとっては新鮮な魚をあまり手をくわえずにしょうゆ味で食べることが王道中の王道なのに、京都ではそれができない。
だから京都は都としてのプライドにかけ、新鮮な魚なしで眼を見張るようなごちそうを作ることに邁進するにいたった。
僕は京料理とはそういうことなのではないかとおもっている。






京都が野菜の栽培に力を入れるようになるのは当然のなりゆきだろうし、出しに重きをおくのも昆布やかつお節が京都で手に入る数少ない海産物だったからだろうとおもえる。
料理の見栄えをよくするために色の淡いうすくちしょうゆを使い、盛り付けなどを工夫して食べて楽しいようにする。
その精神は料亭などの高級料理だけでなく庶民の料理にも生きていて、京都のにしんそばなどは、甘辛くこってりと炊いたニシンが丼の底に沈んでいて、その上にそばがのせられうす味の出しがかけられている。
まず初めにうす味の出しをすすり、そのあとやおら丼の底のニシンに箸をのばして取り出すことで、ニシンの甘辛い煮汁が全体に混ざり、食べながら出しの味が変化するのを楽しめるようになっている。






そのニシンもやはり、身欠きニシンとしてカチンコチンに干し上げたものを持ち込むことができたから、京都ではなじみ深いものになっていて、魚屋の店先でもいつも見かける。
最近のニシンは冷蔵技術の発達で、一昼夜水で戻さないといけないものよりも、もう少し簡単に使える半生のソフトニシンが主流になっているようだ。






ニシンはナスと炊き合わせるのが定番だけれども、これを作るときの京都の人のやり方がまた奮っていて、まずゆでこぼしたニシンだけ甘辛い味付けで炊き始め、途中で出しをすくって別鍋にとり、それをうすめて下ゆでしたナスを煮る。
ナスはあくまでうす味で、そしてニシンはこってりと炊き上げ、最後にそれを合わせるという手の込みようだ。
たしかにこのやり方で作るといかにも上品な味がするニシンとナスの炊合せができるけれども、コンロが1口しかない僕の家では大変すぎる。
そこでやり方を簡略化し、さらにゴマ油と鷹の爪を使ってこってりとしたピリ辛味に仕上げてみることにした。






サラダ油とゴマ油を半々に、少し多めに入れたフライパンで大きめに切ったナス2本を中火で炒め、焦げ目が付きしんなりとしてきたら取り出す。







つづいてゴマ油少々をひき、食べやすい大きさに切ったソフトニシン1枚の皮目と身を軽く焦げ目が付く程度に焼く。






焼けたニシンはそのままにして、細切りのショウガ1かけ分と小さくちぎった鷹の爪1~2本をニシンから出た脂で軽く炒め、ナスをもどし入れたら全体をまぜ、水2分の1カップ、酒4分の1カップ、砂糖大さじ1、みりんとしょうゆ大さじ2をくわえて強めの中火で5分ほど煮る。







火加減を調節して煮汁はほとんど煮詰めるようにし、最後に酢小さじ1をくわえ全体をまぜて皿に盛る。







味のしみたトロトロのナスとしっかりとした味のニシンの名コンビ。







「京都流もいいけどこれも中々だね」
酢を入れるからクドくないよな。






焼きとうがらしのおかかポン酢しょうゆかけ。







オクラとじゃこの冷奴。







酒は焼酎の水割り。